<![CDATA[ブログ]]> https://tokuabe.com/blog/ Wed, 17 Sep 2025 02:35:07 +0900 Thu, 11 Sep 2025 10:07:11 +0900 CMS Blue Monkey http://blogs.law.harvard.edu/tech/rss <![CDATA[治具とは?コストの削減と安定した品質を両立する方法を解説!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/09/11/118

高品質な製品を効率的に生産するためには「治具(じぐ)」の活用が欠かせません。
治具は、作業の精度を安定させるだけでなく、無駄な工数や不良品の発生を減らし、結果的にコスト削減へとつなげてくれる器具です。

特に印刷工程では、細かなズレや圧力の偏りが品質に大きく影響を与えるため、治具の設計や使用方法が重要なポイントとなります。
また近年では、耐久性と安定性を兼ね備えた周辺部材の導入が進み、より精密で効率的な生産体制の構築が可能になっています。

本記事では、「治具とは何か」という基本から、における具体的な活用シーン、さらに品質とコストの両立を実現する方法について、詳しく解説します。

目次

  1. 治具とは?
  2. 治具を使用するメリット
  3. 最適な治具を選ぶための3つのポイント
  4. さまざまな製造工程で活躍する治具
  5. 治具制作なら、特殊阿部製版所にご相談ください


治具とは?

治具(じぐ)とは、製造や加工の工程において、ワーク(加工対象物)を正確な位置に固定したり、作業を補助したりするための器具の総称です。
英語の「jig」の当て字が語源となっています。

治具は、主に、製品の品質を均一に保ち、作業効率を向上させる目的で使用されます。

治具の役割-「位置決め」と「作業の補助」

治具の主な役割は、「位置決め」と「作業の補助」の2点に集約されます。

位置決め(ポジショニング)

治具は、ワークを正確な位置に固定し、加工や印刷のズレを防いでくれます。
特に精密な作業が求められる印刷工程では、ミリ単位、時にはミクロン単位での位置決めが品質を左右します。

作業の補助

治具は、作業者が手作業で行うには困難だったり、熟練を要したりするような作業を簡素化し、補助してくれます。
これにより、誰でも一定の品質で作業を行えるようになり、作業効率が向上します。

たとえば、印刷工程では、印刷対象物を所定の位置に確実に固定し、絵柄との位置関係を常に一定に保つことで、毎回同じ品質の印刷が可能になります。

工具・型・取付具との違い

治具と混同されやすい言葉に「工具」「型」「取付具」がありますが、それぞれ異なる役割を持っています。

工具

工具とは、直接的に加工を行う道具(例:ドリル、ドライバー、ペンチなど)のことです。

一方、治具は工具の使用を補助するものです。

型とは、材料を流し込んだり、プレスしたりして、特定の形状を作り出すもの(例:射出成形金型、プレス金型など)です。

一方、治具はワークを固定するもので、それ自体が形状を作るわけではありません。

取付具(フィクスチャ)

取付具(フィクスチャ)とは、ワークを機械に固定するための装置全般を指します。

治具は取付具の一種ともいえますが、より広範な「作業補助」の役割を含みます。
治具は、単に固定するだけでなく、特定の作業手順や精度を確保するための工夫が凝らされている点が特徴です。

治具を使用するメリット

高品質な治具を導入することでもたらされる、特に重要な3つのメリットを解説します。

品質の均一化と不良率の低下

治具の最大のメリットの一つが、製品品質の均一化です。

手作業や目視に頼る作業では、どうしても個人のスキルや経験によって仕上がりにバラつきが生じます。
しかし、治具を使用することで、ワークの固定位置や加工条件が常に一定に保たれるため、以下のような効果が期待できます。

印刷ズレや位置ズレの防止

ワークを正確に固定し、印刷位置を安定させることで、デザインのズレや欠けを防ぎます。

印圧の均一化

パッド印刷やホットスタンプなど、圧力がかかる工程において、治具がワークを適切に支えることで、印圧の逃げや偏りをなくし、ムラのない仕上がりを実現します。

不良品の削減

品質のバラつきがなくなることで、不良品の発生率が大幅に低下します。
これにより、材料費や工数の無駄がなくなり、コスト削減に直結します。

作業時間の短縮とコスト削減

治具は、作業効率の向上にも寄与し、結果として全体的なコスト削減に貢献します。

段取り時間の短縮

治具により、ワークのセットアップや位置調整にかかる時間を短縮できます。
治具にワークをセットするだけで、すぐに作業を開始できるため、多品種少量生産においても効率的です。

作業スピードの向上

手作業での微調整が不要になるため、作業者は、よりスピーディーに工程を進めることができます。

再作業の減少

不良品が減ることで、修正や再生産にかかる時間を削減できます。

人件費の最適化

作業が簡素化されることで、熟練工でなくても一定の品質を保てるようになり、作業者ごとの生産性差が縮まります。

これらの要素が複合的に作用し、生産リードタイムの短縮と生産コストの削減を実現します。

人手不足対策

少子高齢化が進む現代の日本において、多くの製造業で人手不足が深刻な課題となっています。
治具は、この人手不足対策にも有効な手段となります。

作業の標準化・簡素化

治具を使用することで、複雑な作業工程が標準化され、誰でも簡単に作業を行えるようになります。
これにより、新人教育の負担が軽減され、短期間で戦力化することが可能になります。

熟練工の負担軽減

熟練工が担っていた精密な位置決めや調整作業を治具が代行することで、熟練工はより高度な業務やマネジメントに集中できるようになります。

作業負担の軽減

治具がワークをしっかりと保持するため、作業者は無理な姿勢や力作業から解放され、身体的な負担が軽減されます。
これにより、労働が長時間にわたる場合も楽に作業を行えるようになります。

この結果、治具が作業環境の改善につながり、従業員の定着率向上にも寄与する可能性があります。

最適な治具を選ぶための3つのポイント

治具の導入を検討する際、自社の製造工程に最適なものを選ぶことが重要です。

ここでは、治具選びの際に考慮すべき3つのポイントを解説します。

ポイント①:製造工程の「目的」から種類を絞り込む

まずは、どのような工程で治具を使用するのか、その「目的」を明確にすることが重要です。
これは、目的によって求められる治具の種類や機能が大きく異なるためです。

印刷用の治具の場合、ワークの正確な位置決め、固定、印刷時の圧力や位置の安定化が主な目的となります。
さらに、パッド印刷、シルクスクリーン印刷、ホットスタンプなど、印刷方式によって適切な治具が異なります。

ポイント②:ワーク(対象物)の特性に合わせた「材質」を選ぶ

治具の材質は、ワークの形状、素材、加工方法、使用環境によって慎重に選ぶ必要があります。
これは、不適切な材質を選ぶと、ワークを傷つけたり、治具自体の耐久性が低下したりする可能性があるためです。

以下のように、ワークの素材(プラスチック、金属、ガラスなど)、硬度、表面仕上げなどを考慮し、最適な材質を選定しましょう。

金属製治具(アルミニウム、ステンレスなど)
高精度が求められる場合や、耐久性、剛性が必要な場合に適しています。熱や化学薬品に強い特性もあります。

樹脂製治具(MCナイロン、POM、ABSなど)
ワークを傷つけたくない場合や、軽量化したい場合に有効です。絶縁性や耐薬品性を持つものもあります。

シリコン
特にパッド印刷用治具として、ワークの形状に柔軟にフィットし、安定した保持力を提供します。ワークへのダメージを最小限に抑え、インクの転写を補助する役割も果たします。耐熱性や耐摩耗性にも優れており、耐久性が高いのが特徴です。

ポイント③:必要な「加工精度」のレベルを明確にする

治具自体の加工精度も、製品の品質に直結する重要な要素です。
最終製品に求められる精度に応じて、治具の精度レベルを決める必要があります。

ただし、過剰な精度はコスト増に繋がるため、必要な精度とコストのバランスを見極めることが重要です。
専門業者と相談し、最適な精度レベルを決定することをおすすめします。

高精度治具
ミクロン単位での位置決めや、複雑な形状のワークに対応する場合に必要です。設計・製造コストは高くなりますが、最終製品の品質を保証するために不可欠です。

汎用治具
そこまで高い精度が求められない場合や、多品種少量生産で柔軟な対応が必要な場合に適しています。コストを抑えつつ、ある程度の品質向上を目指せます。

さまざまな製造工程で活躍する治具

治具は、印刷物のさまざまな製造工程で真価を発揮します。
ここでは、代表的な工程ごとの治具の活用例をご紹介します。

印刷用治具(パッド印刷用・シルクスクリーン印刷用・ホットスタンプ用)

まずは、印刷用治具の種類を見ていきましょう。

パッド印刷用治具

パッド印刷は、凹凸のある製品や曲面への印刷に適した方式です。
パッド印刷用治具は、ワークを安定して保持し、インクを転写するシリコンパッドとの位置関係を正確に保つ役割があります。
シリコンパッドとの組み合わせで、複雑な形状への印刷も可能にします。

ワークの形状に合わせた専用設計が必須となりますが、小ロットの印刷であれば簡易治具での対応なども可能です。

パッド印刷について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
パッド印刷(タンポ印刷)とは?仕組みから必要なものまで紹介!

シルクスクリーン印刷用治具

シルクスクリーン印刷は、平らな面にインクを転写する印刷方式です。
治具は、版とワークの正確な位置関係を保ち、印刷のズレを防ぎます。

特に多色刷りの場合、色ごとの位置ズレを防ぐための高精度な治具が求められます。

ホットスタンプ用治具

ホットスタンプ(箔押し)は、熱と圧力で箔を転写する加工です。
治具が、ワークをしっかりと固定し、熱と圧力が均一にかかるようにサポートします。
熱が加わるため、耐熱性のある素材が選ばれることが多いです。

二次加工用治具(高周波誘導加熱用・超音波溶着用)

治具は、印刷だけでなく、金属や、樹脂、非鉄金属の二次加工においても、重要な役割を担っています。

高周波誘導加熱用治具

高周波誘導加熱とは、高周波の電磁誘導を利用して、金属などを加熱することで、金属部品の焼入れやろう付けなどに利用されます。

高周波誘導加熱用治具は、加熱対象となる部品を正確な位置に固定し、均一な加熱を可能にします。
加熱による変形を防ぐため、耐熱性と剛性に優れた素材が選ばれます。

超音波溶着用治具

超音波溶着とは、超音波を利用して、樹脂や非鉄金属を接合する技術の一種で、プラスチック部品などを接合する際に用いられます。

超音波溶着用治具は、溶着する部品を正確な位置で保持し、超音波の振動を効率的に伝える役割があります。

溶着する部品の形状に合わせた専用設計が必要です。

その他の治具

上記以外にも、治具はさまざまな工程で活用されています。

組立用治具…複数の部品を組み付ける際に、正確な位置関係を保ちながら作業を補助します。
検査用治具…印刷位置確認用や、製品の寸法や形状、機能が設計通りかを確認するための基準や測定補助具として使用されます。
搬送用治具…デリケートな製品や特殊な形状の製品を、工程間で安全に搬送するために使用されます。
成形品の反りを修正するための矯正用…成形品を矯正治具にはさみ、一定の圧力をかけて逆反り状態に保持するのに使用されます。
各種アッセンブリ用…部品を所定の位置に正確に固定した状態で、組み付けや圧入などの工程を実施するために使用されます。

治具制作なら、特殊阿部製版所にご相談ください

治具は、製品の品質安定、コスト削減、そして生産性向上に不可欠な存在です。
特に印刷業界においては、微細なズレが製品全体の品質を大きく左右するため、高精度で耐久性のある治具の導入が求められます。

特殊阿部製版所では、長年の経験と実績に基づき、お客様の多様なニーズに合わせた最適な治具の設計・製造を行っております。
特に、パッド印刷用治具や、耐久性に優れたシリコンパッドの提供には自信があります。

使用する材料は、各種金属やさまざまな樹脂など。被印刷物(ワーク)にキズが付きにくい材料を使用することもできます。

「品質を安定させたい」「不良品を減らしたい」「作業効率を上げたい」といったお悩みをお持ちの印刷業ご担当者様は、ぜひ一度、特殊阿部製版所にご相談ください。

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Thu, 11 Sep 2025 10:07:11 +0900
<![CDATA[箔押し(ホットスタンプ)とは?仕組みや加工方法を紹介!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/09/11/117

印刷物に高級感や特別感を与える加工方法の一つとして、近年ますます注目を集めているのが「ホットスタンプ(箔押し)」です。
パッケージや名刺、書籍の表紙などで見かける金色や銀色の光沢加工は、商品の価値を引き立て、ブランドイメージを高める効果があります。

しかし、「ホットスタンプ(箔押し)」と一口にいっても、その仕組みや加工方法、印刷物ごとの適用範囲について正しく理解していない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、仕入購買・調達部門のご担当者様に向けて、「ホットスタンプ(箔押し)」の基本的な仕組みから、代表的な加工方法、採用する際のメリット・注意点までをわかりやすく解説します。
さらに、具体的な活用シーンや、信頼できる印刷パートナーの選び方もご紹介しますので、印刷物のクオリティ向上や付加価値提案を検討されている方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. 箔押し(ホットスタンプ)とは?
  2. 箔押し(ホットスタンプ)のメリット
  3. 箔押し(ホットスタンプ)のデメリット
  4. 箔押し(ホットスタンプ)の種類
  5. 箔押し(ホットスタンプ)が使用されている商品例
  6. 箔押し(ホットスタンプ)に必要なもの
  7. 箔押し(ホットスタンプ)用刻印・治具なら特殊阿部製版所へ
  8. まとめ


箔押し(ホットスタンプ)とは?

箔押し(ホットスタンプ)とは、熱と圧力を用いて、専用の「箔」を紙やプラスチック、革などの素材に転写する特殊な加工技術のことです。
インキによる印刷とは異なり、素材の表面に箔の層を乗せるため、独特の立体感と光沢が特徴です。

金や銀のメタリックな光沢だけでなく、顔料箔によるマットな質感や、ホログラム箔による多色表現など、多様な視覚効果を生み出すことができます。
印刷物に高級感や特別感を与え、製品の付加価値を高める目的で広く用いられています。

箔押し(ホットスタンプ)の仕組み

箔押し加工の基本的な仕組みは、以下の要素で構成されます。

刻印(金型):箔押ししたいデザインが彫刻された金属製の型(版)です。熱を加え、圧力をかける役割を担います。
ホットスタンプ箔:キャリアフィルム、剥離層、着色層(金属層、顔料層など)、接着層の4層からなる特殊なフィルムです。
被加工物:箔押しを施す対象となる紙、樹脂、革などの素材です。

加工の際は、まず刻印を加熱し、その刻印と被加工物の間にホットスタンプ箔を挟みます。加熱された刻印が箔に圧力をかけると、箔の接着層が溶けて被加工物に密着し、同時に剥離層が機能して不要なキャリアフィルムから着色層が分離します。これにより、刻印のデザイン通りに箔が素材表面に転写されるという仕組みです。

この熱と圧力の絶妙なバランスが、美しく、そして耐久性のある箔押しを実現する鍵となります。

箔押し(ホットスタンプ)のメリット

箔押し(ホットスタンプ)には、次の3つのメリットがあります。

高級感のある印刷が可能

箔押し加工の最大の魅力は、その独特の光沢と質感による高級感です。
金や銀のメタリックな輝きは、視覚的なインパクトを強く与え、製品やブランドの価値を格段に引き上げます。

また、箔の厚みによってわずかな凹凸が生まれ、触覚にも訴えかけることで、より一層の特別感を演出できます。

デボス加工と組み合わせれば、よりデザイン性の高い仕上がりを実現できます。

紙だけでなく、樹脂・革など多様な素材に対応

箔押しは、紙製品はもちろんのこと、プラスチック、革、木材、布地など、非常に幅広い素材に適用可能です。
素材の特性に合わせて、最適な箔や加工方法を選択することで、表現の幅が大きく広がります。

この汎用性の高さは、多岐にわたる製品デザインやブランディング戦略において大きな強みとなります。

箔押し(ホットスタンプ)のデメリット

一方で、箔押し(ホットスタンプ)にもデメリットがあります。
次の2点に注意しましょう。

インキを使用する印刷と比較するとコストが割高

箔押し加工は、通常のインキ印刷と比較して、一般的にコストが割高になる傾向があります。

これは、デザインごとに専用の刻印(金型)を製作する必要があること、また、特殊な設備と熟練した技術を要するためです。
特に小ロットの場合、初期費用としての金型代が大きな負担となる可能性があります。

繊細な表現には適切な金型と技術力が必要

箔押しは、細い線や小さな文字、複雑なデザインの再現には、高い精度が求められます。
特に、細かすぎるデザインは箔が潰れたり、逆に剥がれてしまったりするリスクがあります。

これを避けるためには、デザインに適した高品質な金型製作技術と、正確な温度・圧力・時間の調整を行う熟練の加工技術が不可欠です。
信頼できる印刷パートナー選びが、品質を左右する重要なポイントとなります。

箔押し(ホットスタンプ)の種類

箔押し加工には、その用途や被加工物の形状に応じていくつかの種類があります。
ここでは代表的な3つのタイプをご紹介します。

アップダウンタイプ

 

最も一般的な箔押し方式です。
加熱された刻印が上下に動くことで、平面的な被加工物に箔を転写します。
高い精度でシャープな仕上がりを実現できます。

名刺、パッケージ、書籍の表紙など、比較的、小さな面積や平らな面への加工に適しています。

転がし・ローリングタイプ

円筒状の刻印や、ローラー状の装置を用いて、被加工物の上を転がしながら箔を転写する方式です。
連続的な動きで、効率的に加工が可能です。

広範囲の連続したデザインや、円筒形の製品(ペン、ボトル、マスカラ容器、アイライナー容器など)への加工に適しています。

ロールタイプ

連続したシート状の素材(ロール状のフィルムや紙)に対して、高速で箔押しを行う方式です。
生産効率が高く、コストを抑えながら大量の製品に箔押しを施すことができます。

主に大量生産される製品のラベル、パッケージフィルム、ICカードなどの製造ラインで用いられます。

箔押し(ホットスタンプ)が使用されている商品例

箔押し加工は、私たちの身の回りのさまざまな商品に活用されています。
その一部をご紹介します。

名刺・ショップカード

企業のロゴや名前を箔押しすることで、高級感と信頼性を演出します。

化粧品・食品パッケージ

ブランドロゴや商品名を箔押しし、商品の魅力を高め、消費者の購買意欲を刺激します。

書籍・雑誌の表紙

タイトルや装飾に箔押しを用いることで、特別感や重厚感を付与します。

手帳・ノート

表紙のロゴやデザインに箔押しを施し、所有する喜びを高めます。

革製品

財布、バッグ、キーケースなどに名入れやブランドロゴを箔押しし、オリジナリティや高級感を演出します。

ICカード・クレジットカード

カード番号やブランドロゴに箔押しを用いることで、偽造防止やデザイン性を向上させます。

箔押し(ホットスタンプ)に必要なもの

箔押し加工を正確かつ美しく行うためには、以下のものが必要です。

ホットスタンプ機

ホットスタンプ機とは、箔押し加工を行うための機械です。熱と圧力を利用して、箔(ホットスタンピングホイル)を被加工物に転写します。

機械にセットされた刻印(版)を加熱し、箔の上から被加工物に押し当てることで、デザインや文字を正確にマーキングします。手動式から自動機まで様々な種類があり、素材や生産量に応じて使い分けられます。

ホットスタンプ刻印

ホットスタンプ刻印とは、箔押しするデザインが彫刻された型のことです。
熱と圧力を被加工物に伝える重要な役割を担います。

ホットスタンプ刻印には、金属とラバーの2種類があり、素材によって特性が異なります。

  • 金属版
    鉄・真鍮・亜鉛が主な素材です。
    少しエンボスな仕上がりになります。

    熱伝導率が高く、耐久性に優れているため、細かなデザインやシャープな表現、大量生産に適しています。
    特に真鍮は、精密な彫刻が可能で、高い品質が求められる箔押しに多用されます。
  • ラバー版
    シリコンなどのゴム素材で作られた刻印です。
    ラバー硬度は、一般的に60〜90°まであります。

    金属版に比べて柔軟性があるため、表面に凹凸がある素材や、曲面への箔押しに適しています。
    金属版とは異なりフラットな仕上がりになります。

    また、均一な圧力をかけやすいため、広い面積のベタ押しにも利用されることがあります。

治具

治具(じぐ)とは、箔押し加工を行う際に、被加工物を正確な位置に固定し、安定させるための補助器具です。

治具を使用することで、加工位置のズレを防ぎ、均一な品質の箔押しを連続して行うことが可能になります。
特に、複数の工程を要する製品や、複雑な形状の製品には、専用の治具が不可欠です。

治具について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
治具とは?コストの削減と安定した品質を両立する方法を解説!

ホットスタンプ箔

金、銀のメタリック箔が一般的ですが、顔料箔(マットな色)、ホログラム箔(虹色の輝き)、パール箔、木目調箔など、非常に多種多様な種類があります。

素材との相性やデザインコンセプトに合わせて、最適な箔を選ぶことが、期待通りの効果を生み出す鍵となります。

箔押し(ホットスタンプ)用刻印・治具なら特殊阿部製版所へ

特殊阿部製版所は、長年にわたり培ってきた製版技術と精密加工のノウハウを活かし、高品質な箔押し用刻印および治具の製造を手がけております。

お客様の多様なニーズに応えるべく、金属刻印からラバー刻印、そして複雑な形状の被加工物に対応する専用治具まで、幅広く対応いたします。

デザインの細部まで忠実に再現する精密な加工技術と、安定した品質を保証する体制により、お客様の印刷物に最高の付加価値を提供いたします。

箔押し加工に関するご相談や、刻印・治具の製作依頼は、ぜひ特殊阿部製版所にお任せください。

まとめ

箔押し加工は、印刷物に高級感と耐久性を与え、ブランド価値を高める非常に効果的な手法です。

しかし、その特性を最大限に活かすためには、適切な金型製作技術と加工ノウハウを持つ信頼できるパートナー選びが不可欠です。

今回ご紹介した情報を参考に、貴社の印刷物への箔押し導入を検討される際の判断材料としていただければ幸いです。

製品の付加価値向上、そしてブランドイメージの強化に向けて、ぜひ箔押し加工の活用をご検討ください。


 
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Thu, 11 Sep 2025 10:07:04 +0900
<![CDATA[【アーカイブ配信】『パッド印刷トラブルシューティング シリコンパッド編』セミナー動画をUPしました!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/08/20/116 以前に開催したWEBセミナー『パッド印刷トラブルシューティング シリコンパッド編』の動画をUPしました!

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Wed, 20 Aug 2025 13:54:53 +0900
<![CDATA[【お役立ち資料集】シリコンパッド選定のポイントについての資料をUPしました!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/08/05/115  

シリコンパッドの硬度と天面角度の相関関係をまとめた資料を作成しました。
シリコンパッド選定の参考としてご使用ください。

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Tue, 05 Aug 2025 15:12:13 +0900
<![CDATA[シリコンパッドの役割とは?パッド印刷における重要な要素を徹底解説!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/08/05/113

シリコンパッドとは、パッド印刷において、インキを版から被印刷物に転写する役割を担う部品です。

パッド印刷(タンポ印刷)は、曲面や凹凸面、微細なデザインへの印刷に適した転写印刷技術ですが、その品質を左右するのがシリコンパッドです。
シリコンパッドは、インキを確実に拾い上げ、被印刷物に正確に転写するための重要な役割を担っています。

しかし、その材質や硬度、形状が多岐にわたるため、自社の用途に最適なものを選ぶのは容易ではありません

この記事では、「シリコンパッド」に焦点を当て、その役割や材質、形状、そして適切な選び方のポイントを詳しくご紹介いたします。

目次

    1. シリコンパッドとは?パッド印刷の品質を左右する重要部品
    2. シリコンパッドを選ぶ3つのポイント
    3. 【目的・種類別】シリコンパッドの特徴一覧
    4. 既製品では解決できない?特注・オーダーメイドという選択肢
    5. まとめ


シリコンパッドとは?パッド印刷の品質を左右する重要部品

パッド印刷(タンポ印刷)は、凹凸のある面や曲面、複雑な形状の対象物に対して、細かなデザインや文字を印刷するのに適した転写印刷技術です。

この印刷方法の核となるのがシリコンパッドで、インキを版から被印刷物に転写する役割を担います。

パッド印刷の仕組みとシリコンパッドの役割

パッド印刷の工程は、まず版上のインキをシリコンパッドで拾い上げ、次にそのインキを被印刷物に転写するというものです。

シリコンパッドは、この一連の動きの中で、インキを正確に捉え、被印刷物の形状に合わせて変形し、インキを転写する役割を担います。
その柔軟性と、インキ離れの良さが、パッド印刷の仕上がり品質を大きく左右します。

なぜ適切なシリコンパッド選びが重要なのか

パッド印刷において、インキの転写不良や、デザインの滲み、欠けといった問題が発生することがあります。パッド印刷において、インキの転写不良や、デザインの滲み、欠けといった問題が発生することがあります。これらの問題の多くは、シリコンパッドの選定ミスに起因することが少なくありません。

たとえば、被印刷物の形状や材質、使用するインキの種類に合わないパッドを選んでしまうと、インキが適切に転写されず、印刷品質が低下します。

適切なシリコンパッドを選ぶことは、印刷工程の効率化と品質の安定化に直結するため、非常に重要なのです。

シリコンパッドを選ぶ3つのポイント

シリコンパッドを選ぶ際には、「形状」「硬度」「材質」の3つのポイントを考慮する必要があります。

ポイント①シリコンパッドの形状

シリコンパッドの形状は多岐にわたり、用途に応じて最適なものが異なります。

形状別の特徴と用途

シリコンパッドにはさまざまな形状があります。
一般的には、丸型、角型、かまぼこ型、特殊な形状(特殊丸型など)があります。

被印刷物の形状や、印刷する面積、デザインの細かさなどに応じて最適な形状を選びます。
基本的には、とがった形状の方が、印刷が美しく仕上がりますが、曲面への印刷の場合は、とがっていないパッドの方が歪みを抑えて仕上げられます。

少ない工数での印刷を可能にする組み合わせパッド



印刷コスト削減などにより、より少ない工程数での印刷が求められています。
しかし、安易な工程数短縮は、印刷品質低下を招く恐れがあります。

このような問題を解決したい場合には、「組み合わせパッド」が有効です。
組み合わせパッドにより、複数工程を一度に短縮することができ、生産効率の向上につながります。

ポイント②シリコンパッドの硬度

シリコンパッドの硬度は、インキの拾い上げ方や被印刷物への追従性に影響します。

1~4の4段階で、硬度1が最も硬く、硬度4が最も柔らかいものになります。
同じ硬度であっても、材質によって実際の硬度は異なります。
ワーク形状、図柄、インキ、印刷速度などによって、最適な硬度のシリコンパッドを選ぶ必要があります。

柔らかいパッド・硬いパッドの長所と短所

柔らかいパッドは、凹凸や曲面のある被印刷物に対してより良く密着し、インキを均一に転写しやすいという長所があります。機械の圧力が弱くても印刷できるという点も長所です。
一方で、ピンホールが出やすいというデメリットがあります。

硬いパッドは、鋭いエッジを持つデザインや細かい文字の再現性に優れていますが、Rの強い曲面への印刷は困難です。

被印刷物の形状や印刷パターンから考える硬度の目安

被印刷物の材質や形状、印刷するデザインの複雑さによって、適切な硬度は異なります。
一般的に、凹凸が多い、または曲面のきつい被印刷物には柔らかめのパッドが、平らな面や微細なパターンには硬めのパッドがおすすめです。

たとえば、以下のような例が考えられます。

  • 平らな部分に高精細な絵柄を印刷する場合…硬度1~2のパッド
  • ベタ印刷で文字などを印刷する場合…硬度2~3のパッド
  • 曲面に細い線を印刷する場合…硬度2~3のパッド

ポイント③シリコンパッドの材質

シリコンパッドの材質は、耐久性やインキに対する親和性を左右します。

材質別の特徴と用途

シリコンパッドの材質は、印刷品質や耐久性に大きく影響します。
たとえば、特定のインキとの相性や、耐摩耗性、インキ離れの良さなどが材質によって異なります。

なお、特殊阿部製版所では、12種類の材質をラインナップしており、ご使用のインキや印刷スピードなどに合わせて選択しております。

鮮明な印刷を実現する硬度・材質の組み合わせ

材質と硬度の組み合わせによって、最適な印刷品質が得られます。被印刷物の材質や使用するインクに応じて、最適な組み合わせを選定することが重要です。

たとえば、特定の材質は高い耐久性を提供する一方で、別の材質はより鮮明な印刷を実現する柔軟性を持ちます。
微細な文字やロゴ、繊細なデザインを鮮明に再現したい場合は、ご相談に乗りますので、お問い合わせください。

【目的・種類別】シリコンパッドの特徴一覧

シリコンパッドには、特定の目的に特化したさまざまなタイプが存在します。

高粘度インキ対応タイプ(ATタイプ)

高粘度のインクを使用する場合、インクを確実に転写するためには特別な対応が必要です。ATタイプ(高粘度インキ対応タイプ)は、高粘度インキに対する転写性を高めるように設計されており、インクの品質を損なうことなく正確な印刷を可能にします。

高粘度インキに対応したシリコンパッドを見る
詳細資料は電子ブックでご覧いただけます(要ユーザー登録)

帯電防止タイプ(Nタイプ)

印刷工程中、静電気の発生は、「ヒゲ」(インキの飛び散り)や埃の付着を引き起こし、印刷品質を低下させる原因となります。

Nタイプ(帯電防止タイプ)は、静電気の発生を抑制し、クリーンな印刷環境を維持するのに役立ちます。

帯電防止効果のあるシリコンパッドを見る
Nタイプについて電子ブックで見る(要ユーザー登録)

キズが入りにくく、切れにくいタイプ(SL/SHタイプ)

製造現場では、パッドが摩耗したり、キズが入ったりすることがあります。SL/SHタイプは、優れた耐摩耗性を持ち、キズが入りにくく、切れにくいという特徴があります。
これにより、パッドの交換頻度が減り、コスト削減と生産効率の向上につながります。

キズが入りにくく、切れにくいタイプ(SL/SHタイプ)
キズが入りにくく、切れにくいシリコンパッドについて電子ブックで見る(要ユーザー登録)

既製品では解決できない?特注・オーダーメイドという選択肢

市場に出回っている既製品のシリコンパッドでは、特定の被印刷物や複雑な印刷要件を満たせない場合があります。このような場合、特注やオーダーメイドのパッド製作を検討することが有効です。

特殊阿部製版所では、カタログに記載のない既存の形状同士の組み合わせでも、シリコンパッドを製作しております。

カタログにはない特殊形状パッドの製作

特定の凹凸や複雑な形状を持つ被印刷物に対して、既製品のパッドでは対応が難しいことがあります。

特殊な形状のパッドをオーダーメイドすることで、被印刷物に完全にフィットし、最適な転写品質を確保できます。

複数工程を一度に短縮する組み合わせパッド

標準的な印刷工程を簡素化したい場合、単一のパッドで複数の作業を同時に行うことができる組み合わせパッドの製作が考えられます。

これにより、生産時間を大幅に短縮できます。

詳しくは、シリコンパッド形状カタログをご覧ください。

まとめ

シリコンパッドは、パッド印刷の品質を左右する非常に重要な要素です。適切なシリコンパッドを選ぶためには、被印刷物の形状、使用するインキ、そして求める印刷品質に基づいて、「形状」「硬度」「材質」を慎重に検討する必要があります。

既製品で対応が難しい場合は、特注やオーダーメイドの選択肢も視野に入れることで、最適な印刷ソリューションを実現できるでしょう。シリコンパッドの選定を見直すことで、パッド印刷の品質向上と効率化が期待できます。

特殊阿部製版所では、多様なニーズに合うシリコンパッドをラインナップしております。
シリコンパッドでお困りの方は、ぜひご相談ください。

最適なシリコンパッド選定でお困りではありませんか?
技術スタッフに相談する(お問い合わせ)

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Tue, 05 Aug 2025 15:00:00 +0900
<![CDATA[パッド印刷(タンポ印刷)とは?仕組みから必要なものまで紹介!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/08/05/112 パッド印刷とは、曲面や凹凸のある製品にも印刷できる特殊な印刷技術で、自動車部品から医療機器、おもちゃなど、身の回りにあるさまざまな製品に活用されています。

しかし、その具体的な仕組みや、どのような製品に適しているのか、導入には何が必要なのか、詳しくご存じない方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこの記事では、パッド印刷(タンポ印刷)の基本的な仕組みから、その特徴、メリット・デメリット、そして導入に必要なものまでをご紹介いたします。

目次

    1. パッド印刷(タンポ印刷)とは?
    2. パッド印刷(タンポ印刷)のメリット
    3. パッド印刷(タンポ印刷)のデメリット
    4. パッド印刷(タンポ印刷)と他の印刷方法との違い
    5. パッド印刷(タンポ印刷)の3つの印刷事例
    6. パッド印刷(タンポ印刷)に必要なもの
    7. パッド印刷(タンポ印刷)なら特殊阿部製版所にお任せください
    8. まとめ


パッド印刷(タンポ印刷)とは?

パッド印刷(タンポ印刷)とは、曲面や凹凸のある製品にも印刷できる特殊な印刷技術のことです。

柔らかいシリコン製のパッドを用いてインキを転写するため、平面だけでなく曲面や凹凸のある製品、不規則な形状の製品にも印刷できるのが特徴です。

パッド印刷(タンポ印刷)の仕組み

パッド印刷(タンポ印刷)の具体的な仕組みとしては、まず、印刷するデザインが彫刻された版(プレート)にインキを塗布します。

次に、その版から余分なインキをドクターブレードと呼ばれる道具で拭き取り、必要なインキのみを版に残します。

その後、シリコンパッドを版に押し当ててインキを吸着させ、そのインキを吸着したパッドを印刷対象物に押し当てて転写します。

この一連の工程を繰り返すことで、連続して印刷が行われます。シリコンパッドの柔軟性が、さまざまな形状の表面にインキを均一に転写することを可能にしています。

パッド印刷(タンポ印刷)でできること

パッド印刷は、その柔軟性から多岐にわたる製品への印刷が可能です。たとえば、ゴルフボールのような球体、医療機器の曲線部分、自動車部品の複雑な形状、電化製品のスイッチ部分、人形の小さな目など、従来の印刷方法では難しかった対象物にも鮮明な印刷を施せます。

また、微細な文字やロゴ、繊細なデザインも鮮明に再現できるため、製品のデザイン性を高めることもできます。

素材もプラスチック、金属、ガラス、セラミックなど幅広いものに対応しており、素材に合わせたインキを選定することで、耐久性の高い印刷が可能です。

こうした柔軟な印刷を安価に行えるのがパッド印刷なのです。

パッド印刷(タンポ印刷)のメリット

パッド印刷(タンポ印刷)には、主に「曲面や凹凸面など多様な面へ印刷が可能」「小さな文字や繊細なデザインの再現性が高い」という2つのメリットがあります。

曲面や凹凸面など多様な面へ印刷が可能

パッド印刷の最も大きなメリットは、その高い適応性です。シリコンパッドの柔軟性により、平面はもちろんのこと、曲面、凹凸面、そして複雑な形状の製品にも高精度な印刷を行えるのが特徴です。

たとえば、ペンやボトル、家電製品の操作ボタンなど、立体的な形状を持つものへの印刷に力を発揮します。これは、他の多くの印刷方法では難しい、パッド印刷ならではの強みといえます。

小さな文字や繊細なデザインの再現性が高い

パッド印刷は、微細な文字やロゴ、繊細なデザインを鮮明に再現することにも優れています。
これは、インキをパッドに吸着させ、対象物に転写する際の精度が高いためです。

このメリットから、医療機器や精密部品のように、非常に小さなスペースに正確な情報を印刷する必要がある場合にも、対応できます。

パッド印刷(タンポ印刷)のデメリット

一方、パッド印刷(タンポ印刷)にもデメリットがあります。
「印刷範囲に制約がある」「多色刷りやグラデーション表現の難易度が高い」の2点です。

印刷範囲に制約がある

パッド印刷は、大きな面積への印刷には不向きな場合が多く、広い範囲にデザインを施したい場合には、別の印刷方法を検討する必要があります。

また、パッドの転写面積にも限界があるため、印刷物のサイズとデザインのバランスを考慮することが大切です。

多色刷りやグラデーション表現の難易度が高い

パッド印刷で多色刷りを行う場合、色ごとに版とパッドを準備し、色を重ねて印刷する必要があります。

このため、色数が増えるほど工程が複雑になり、位置合わせの精度も求められます。また、グラデーションのような色の濃淡を滑らかに表現することは、パッド印刷の特性上、比較的、難易度が高いとされています。

パッド印刷(タンポ印刷)と他の印刷方法との違い

パッド印刷と、代表的な他の印刷方法とを比較してみましょう。

①シルクスクリーン印刷

シルクスクリーン印刷は、版に開けられた孔(あな)からインキを押し出して印刷する方法です。
インキの層が厚く、耐久性に優れるという特長があります。
Tシャツや看板など、比較的大きな平面への印刷に適しています。

パッド印刷と比較すると、シルクスクリーン印刷は平面への印刷が中心であり、曲面や凹凸面への対応は限定的です。
また、パッド印刷が微細な印刷を得意とするのに対し、シルクスクリーン印刷は、より大胆なデザインやインキの盛り上げ表現に向いています。

②ドライオフセット印刷

ドライオフセット印刷は、オフセット印刷の一種ですが、刷版は凸版を使用します。通常のオフセット印刷とは異なり、湿し水を使用しないため、「ドライオフセット」といいますが、水なし印刷ではありません。湿し水を使用しないため、にじみが少なく、鮮明な印刷が可能です。

インキが版からブランケット(ゴム布)に転写され、さらにブランケットから被印刷物に転写する間接印刷方式です。

パッド印刷と比較すると、ドライオフセット印刷は主に平面への印刷、特にプラスチックシートや金属板などの薄い素材への精密な多色印刷に強みがあります。パッド印刷のような立体物への対応は難しい傾向にあります。

③ホットスタンプ(箔押し)

ホットスタンプ(箔押し)は、熱と圧力を利用して金属箔などを対象物に転写する加工方法です。光沢感や高級感を演出する際に用いられ、製品のロゴや文字に特別な質感を加えられます。

主に平面、またはごくわずかな曲面への加工に適しており、印刷というよりは装飾加工に近い位置づけです。

パッド印刷のようにインキを転写するのではなく、箔を押し付けるため、色の表現や微細なデザインの再現性においてはパッド印刷とは異なる特性を持ちます。

パッド印刷(タンポ印刷)の3つの印刷事例

パッド印刷(タンポ印刷)の活用について、具体的なイメージを掴んでいただくために、特殊阿部製版所で行ったパッド印刷(タンポ印刷)の3つの事例をご紹介いたします。

ワイングラス(ガラス)へ印刷事例

パッド印刷にてワイングラスへの試作を行った事例です。

試作に用いた商品情報は以下の通りです。

  • 材質:クリスタルガラス(鉛フリー)
  • 容量:730ml
  • 重さ:200g
  • サイズ:111mm×220mm、口径75mm
  • 印刷範囲:横40mm×縦47mm

ブルゴーニュグラスとよばれる、かなり大きめのワイングラスに、社内で調色を行って印刷しました。

また、パッド印刷による文字入れのほかにも、グラスのふちに、金色で印刷することによって高級感を出す「口線加工(金巻き)」にも対応可能です。

本事例について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://tokuabe-print.com/20231205-2/


再生プラスチック製の生活雑貨への印刷事例

 

タイ生まれの雑貨ブランド「BOPE(ボープ)」様にご協力いただき、フェスグッズを想定した、さまざまなプラスチック雑貨にパッド印刷した事例です。

試作に用いた商品は、以下の通りです。

  • コースター
  • モバイルスタンド
  • フラワーポット
  • トレイ
  • ソープトレイ

BOPEでは、どの製品も100%再生プラスチックのみを原材料としています。
今回、印刷の対象となったのは、再生PP(ポリプロピレン)。
再生PP(ポリプロピレン)は、印刷が難しい材料として知られています。

PP素材には水をはじく性質があるので、濡れ指数(素材に液体がなじむ強さ)を高めるための前処理が必要となります。

なお、PP製品への印刷は、レーザーマーキング印刷でも対応可能ですので、お問い合わせください。

本事例について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://tokuabe-print.com/20240725-2/

クリスマスオーナメントボール(球体)への印刷事例

クリスマスオーナメントボール(球体)への印刷事例です。
株式会社ワコールアートセンター様よりご依頼いただき、
アーティストの村山 大明 様が描いた動植物のペン画をクリスマスオーナメントに印刷しました。

球体型のプラスチック製オーナメントは、ポリスチレン(PS)素材でつくられていることが多いです。
塗装されているものがほとんどで、塗装面への印刷となるため、密着は比較的、良好です。

なお、おおまかではありますが、当社で印刷できる範囲が下記の通りです。

  • 直径80mmのオーナメントボールであれば、75mm以内のデザイン(歪みを考慮すると65mmまでが妥当)
  • 直径60mmのオーナメントボールであれば、60mm以内のデザイン(歪みを考慮すると50mmまでが妥当)

プラスチック以外にも、ガラス製や陶器製のオーナメントに印刷が可能です。
ただし、注意点もあるため、まずは製品情報とともにご相談ください。

本事例について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://tokuabe-print.com/20231214-2/

パッド印刷(タンポ印刷)に必要なもの

このようなパッド印刷を導入・運用するためには、いくつかの専用の機材と資材が必要になります。

パッド印刷機

まずは、パッド印刷の中核となる機械です。まずは、パッド印刷の中核となる機械です。
パッド印刷機には、手動式、半自動式、全自動式があり、印刷量や予算、印刷対象物の種類に応じて選びます。小ロット生産や試作には手動機、中ロットには半自動機、大量生産には全自動機が適しています。

パッド印刷機の主な構成要素が「版」「シリコンパッド」「ドクターブレード」「治具」です。

パッド印刷には、印刷デザインが凹状に加工された版(凹版)が必要です。印刷したい文字や絵柄のフィルムを作製し、化学処理を行うことで凹版ができあがります。
パッド印刷に使う版なので「パッド版」と呼ばれることもあります。

版には、スチール製のものと樹脂製のものがあり、印刷する数量によって材質を選定します。

スチール製では、0.5mm厚のもので5万ショット、10mm厚のもので50万ショットほど使用が可能です。
※印刷するデザインなどの条件によって前後します

シリコンパッド

インキを版から対象物に転写する役割を担うのが、シリコン製の柔らかい部品である、シリコンパッドです。
簡単にいうと、シリコンパッドは印刷版から対象物にインクを運ぶ役割を担います。

パッドの硬度、形状、サイズが多岐にわたるため、印刷対象物の形状やインキの種類、印刷精度に合わせて最適なパッドを選びます。

またシリコンパッドを機械にセットするために「ベース」も必要です。ベースには、アルミ素材でできたもの、ベニヤ素材でできたものなどがあります。

ドクターブレード

版の表面から余分なインキを掻き取るための部品が、ドクターブレードです。「スキージ」とも呼ばれます。
カッターのような形状をしており、版の上に残っている無駄なインキをそぎ落とします。

これにより、デザイン部分にのみ適量のインキが残り、鮮明な印刷が可能になります。ドクターブレードの材質や角度、圧力の調整が、印刷の仕上がりに大きく影響します。

治具

治具とは、印刷対象物を固定し、動かないようにするための補助具です。治具とは、印刷対象物を固定し、動かないようにするための補助具です。
特に曲面や不規則な形状の製品に印刷する際には、対象物が動かないようにしっかりと固定する治具が不可欠です。

治具の精度が、印刷の位置ずれ防止や生産効率の向上に直結します。対象物の形状に合わせて、専用の治具を作成するため、費用がかかります。

治具が必要ないケース、小ロットの印刷であれば簡易治具での対応なども可能です。

治具について詳しくは、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】
印刷のはなし #1 「治具はなぜ必要?」

インキ

印刷対象物の素材や用途に合わせた専用のインキを使用します。

プラスチック用、金属用、ガラス用など、素材ごとに適したインキの種類があり、インキの選定は印刷の密着性や耐久性に大きく関わります。
速乾性や耐候性、耐薬品性など、求める性能に応じて適切なインキを選ぶ必要があります。

パッド印刷(タンポ印刷)なら特殊阿部製版所にお任せください

特殊阿部製版所は、曲面印刷のスペシャリストとして、長年にわたり多くの実績を積んでまいりました。

お客様の多様なニーズにお応えできるよう、経験豊富なスタッフが最適なパッド印刷(タンポ印刷)の資材をご提案いたします。

また、資材だけでなく印刷機やインキも含めたトータルでのご提案も可能です。

曲面や凹凸のある製品への印刷でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

パッド印刷(タンポ印刷)資材はこちら

内面へのパッド印刷技術

UVパッド印刷技術

導電パターン形成

まとめ

パッド印刷(タンポ印刷)は、柔軟なシリコンパッドの特性を活かし、平面だけでなく、曲面や凹凸のある多様な形状の製品にも高精度な印刷を可能にする特殊な印刷技術です。

微細な文字や繊細なデザインの再現性に優れ、プラスチック、金属、ガラスなど幅広い素材に対応できる点が大きなメリットです。

一方で、印刷範囲の制約や多色刷り、グラデーション表現の難易度が高いといったデメリットも存在します。

導入にはパッド印刷機、版、シリコンパッド、ドクターブレード、治具、インキといった専門的な設備や資材が必要となります。

パッド印刷(タンポ印刷)機やパッド印刷(タンポ印刷)資材をご希望の方は、特殊阿部製版所まで、お気軽にご相談ください。

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Tue, 05 Aug 2025 14:55:00 +0900
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Fri, 27 Jun 2025 16:45:37 +0900
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Fri, 30 May 2025 16:20:55 +0900
<![CDATA[【アーカイブ配信】『パッド印刷トラブルシューティング 欠け編』セミナー動画をUPしました!]]> https://tokuabe.com/blog/2025/04/22/109 以前に開催したWEBセミナー『パッド印刷トラブルシューティング 欠け編』の動画をUPしました!

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・以前からパッド印刷をどんなものか知りたかった・勉強したかった方
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Tue, 22 Apr 2025 17:12:49 +0900
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Thu, 03 Apr 2025 16:47:12 +0900