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2026/03/27

【パッド印刷】全域ピンホールの真犯人はどこ?原因を見分ける5つのチェックポイント

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印刷条件のバランスが崩れると発生するトラブル

パッド印刷で発生するピンホール不良の多くは、デザイン端部など局所的に現れるケースです。
それに対して、印刷面全体にピンホールが広がる現象は比較的まれですが、いったん発生すると原因の特定が難しいトラブルのひとつです。
ベタ面全体に小さな穴が散らばるように現れる場合、インキ・パッド・ワーク・印刷条件・環境といった複数の要素のバランスが崩れているサインであることが多くあります。

現場では
・ インキ粘度を調整する
パッドを交換する

といった対応が行われますが、それでも改善しないケースが多々あります。パッド印刷でも
版・パッド・インキ・印刷条件・印刷環境といった複数の要素が互いに影響しています。
そのため、全体にピンホールが発生した場合は工程全体を確認することが重要です。

この記事では
なぜ印刷面全体にピンホールが発生するのか
現場でどのように原因を切り分けるか
どのような対策が考えられるか
について解説します。


全体ピンホールの特徴

端部ピンホールと異なり、印刷面全体に発生するピンホールは印刷条件や環境の影響を受けているケースが多いのが特徴です。

例えば
・ ベタ面全体に細かい穴が散らばる

・ 印刷面がザラつく
・ クレーター状の凹みが見られる
といった症状が現れます。

端部ピンホールはパッド形状や転写挙動に起因することが多いのに対し、
全体ピンホールはインキ状態、ワーク表面、印刷環境など工程全体の影響を受ける傾向があります。

全体ピンホールを見分けるチェックポイント
印刷面全体にピンホールが発生した場合、次の項目を順番に確認すると原因を切り分けやすくなります。

チェック① インキの状態
インキ粘度や乾燥速度が適正でない場合、インキ膜が安定せずピンホールが発生することがあります。
溶剤の入れすぎによる粘度低下や、攪拌時の気泡混入などを確認してください。

チェック② パッドの状態
パッド形状や硬度、印圧がワーク形状にに適していない場合、インキ転写が均一にならずピンホールが発生することがあります。また、表面の汚れ(主に埃や、樹脂カス等)も転写不良の原因になります。

チェック③ ワーク表面
素材表面に油分や離型剤が残っているとインキを弾きやすいため、クレーター状のピンホールが発生することがあります。特にPPやPEなどの低表面エネルギー素材では注意が必要です。

チェック④ 印刷条件
ドクターブレードの摩耗や印圧不足など、印刷機の設定によってインキ供給や転写が不安定になることがあります。

チェック⑤ 印刷環境
静電気や低湿度環境もピンホールの原因になります。
帯電したワークは埃を吸着しやすく、微小ピンホールの原因になります。
ピンホールの原因は、穴のサイズと見え方から大まかに推測できます。まず印刷面を観察し、次の診断マップで原因を絞り込んでください。


 

インキ条件による原因

インキの状態もピンホール発生に大きく関係します。
パッド印刷ではインキの粘度、乾燥速度、濡れ性などのバランスが崩れると、印刷面にピンホールが発生しやすくなります。

特に次のような状態では、印刷面全体にピンホールが発生することがあります。
・溶剤を加えすぎてインキ粘度が低くなっている
・攪拌不足によりインキが均一になっていない
・インキとシリコンパッドの相性が適正でない
溶剤(希釈剤)が速乾すぎて版上乾燥が進んでいる
・攪拌時に混入した気泡がインキ中に残っている

例えばインキが速乾すぎる場合、版上乾燥が進むとインキ表面に薄い皮膜が形成されることがあります。この状態でパッドが転写すると、インキ膜が破断し、微小な欠損としてピンホールになることがあります。また、攪拌時に気泡が混入すると、その気泡が版の凹部に残り、パッド転写時にそのまま印刷面へ転写されてピンホールとして現れることがあります。
さらに、粘度が低すぎる場合、インキ膜の表面張力バランスが崩れ、ワーク表面でインキが部分的に退くことがあります。その結果、インキ膜が均一に形成されず、ピンホールが発生することがあります。

対策としては
・ 遅乾溶剤による乾燥調整
攪拌速度の低減
攪拌後の静置
などが有効です。

パッドによる原因

シリコンパッドの状態もピンホールに大きく影響します。
注意すべき状態は次の通りですワーク。
ワーク形状に合わないパッド形状
硬度不適合
表面汚染
表面劣化
形状が適切でない場合、パッドが均一に圧縮されずインキ転写が不安定になります

また、柔らかすぎる場合には圧力が分散しやすく、インキ膜を十分に押し出せないことがあります。逆に硬すぎる場合にはワーク形状への追従性が低下し、やはり転写ムラが発生します。
さらに、パッド表面に油分やインキが付着している場合には、インキが均一に付着せず転写不良の原因になります。パッド表面に光沢が見られる場合は、シリコンのオイル成分が移行している、あるいは表面劣化が進んでいる可能性があります。

対策としては
表面クリーニング
テープクリーニング
パッド交換
硬度や形状の見直し
が有効です。

ワークによる原因

ワーク表面の状態も、印刷品質に大きく影響します。
パッド印刷では、ワーク表面の濡れ性(表面エネルギー)が不足している場合、インキが均一に広がらず、印刷面にピンホールやクレーター状の欠陥が発生することがあります。

特に次の状態では注意が必要です。
油分の付着
離型剤残留
汚れ
表面エネルギー不足

これらの状態ではインキが十分に濡れず、クレーター状ピンホールが発生します。
特にポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの低表面エネルギー素材では、この現象が発生しやすくなります。

対策としては
IPA脱脂
プラズマ処理
コロナ処理
などが有効です。

印刷条件による原因

印刷機の設定も重要です。
ドクターブレードやドクターリングが摩耗していると、インキ掻き取りが不均一になりベタ面にムラが発生します。
また、印圧不足ではインキ転写が不十分となり、印刷面全体でインキ膜が薄くなることがあります。
確認すべきポイントは
ドクターブレード摩耗
シリコンの硬度不足
押し込み量調整
などです。

印刷環境による原因

印刷環境もピンホール発生に影響することがあります。
特に注意したいのが静電気と湿度です。
ワークや治具が帯電している場合、インキ膜が局所的に退いたり薄くなったりすることがあります。その結果、クレーター状のピンホールが発生することがあります。
また、帯電したワークには微細な埃や粉塵が吸着しやすくなり、これが「点欠け」や「微小ピンホール」の原因になることもあります。
湿度が低すぎる環境では静電気が発生しやすくなるため、印刷環境の管理も重要です。
一般的には温度20〜25℃、湿度50±10%RH程度の環境が安定しやすいとされています。
エアコンの直風が印刷機に当たる場合もインキ乾燥バランスが崩れることがあるため注意が必要です。


まとめ

印刷面全体に発生するピンホールは、工程全体のバランス崩れによって発生することが多い不良です。
次の5つの要素を順番に確認することで原因を切り分けることができます。

  • 印刷条件
  • インキ状態
  • パッド状態
  • ワーク状態
  • 印刷環境

ピンホールは偶発的なトラブルではなく、印刷工程の状態を示す重要なサインでもあります。
条件を一つずつ整理することで、印刷の安定性を高めることができます。

技術相談

原因が特定できない場合や条件調整で改善しない場合は、
版設計・パッド選定・印刷条件の整理からサポートすることも可能です。
現場条件を確認しながら、再現性のある改善方法をご提案いたします。
お気軽にご相談ください。


 

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