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2026/03/26

【パッド印刷】端部に出るピンホールの原因と対策|五分で出来る診断法

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パッド印刷のトラブルの中でも、特に相談が多いのがデザイン端部に発生するピンホールです。
「中央はきれいに印刷されているのに、端だけピンホールが出る」という現象は珍しくありません。
多くの場合、まず疑われるのはインキに添加する溶剤量のバランスやパッドの劣化です。
しかし、インキを調整したりパッドを交換しても改善しないケースもあります。
その原因は、インキやパッド単体ではなく版・パッド・インキ・ドクターブレード・印刷条件
といった複数要素のバランスが崩れている場合が少なくありません。
パッド印刷ではこれらの条件が互いに影響し合うため、どれか一つだけを変更しても問題が解決しないことがあります。
この記事では

  • なぜ端部にピンホールが発生するのか
  • 現場でどのように原因を切り分けるのか
  • 具体的にどのような対策が有効なのか

を図解を交えながら解説します。


ピンホールの主な発生要因

端部ピンホールは突発的な不具合ではなく、次の要因のいずれか、または複数が重なって発生することが多い不良です。
① インキに気泡が混入している場合
インキトレーでの攪拌や充填時に空気が入り込み、その気泡がエッチング内部に残ることがあります。
② 版やドクターブレードの条件が適していない場合
ブレード角度や摩耗、エッチング深度などが適切でないとインキ供給が不均一になり、ピンホールにつながります。
③ パッドが気泡を押し潰せていない場合
パッド形状や硬度、表面状態が適切でない場合、気泡がそのままワークへ転写されることがあります。
特に印刷端部はインキ膜が薄くなりやすく、これらの影響が現れやすい部分です。

インキは完全な平面ではない

ピンホールの原因を理解するうえで重要なのが、インキの液面形状です。
インキは表面張力の影響を受けるため、エッチング内部で完全な平面にはなりません。
液面はわずかに凹形状となり、エッチングの角部やR部には空気が残りやすくなります。
この気泡がパッドで押し潰されず転写されると、印刷面にピンホールとして現れます。
端部はインキ膜が薄くなりやすいため、この影響を受けやすい部分です。

この気泡がパッドで押し潰されず転写されると、印刷面にピンホールとして現れます。

端部はインキ膜が薄くなりやすいため、この影響を受けやすい部分です。

ピンホール原因の切り分け方(5分トリアージ)

ピンホールの原因を調べる際は、次の三点を確認します。

①気泡がどの工程で発生しているのか
インキ皿内 → ③インキの項目へ 
ブレード通過時 → ④ブレードの項目へ 
パッド転移時 → ①パッドの項目 / ②版の項目 
ワークへ転写時 → ①パッドの項目 / ⑤印刷速度
どの段階で気泡が残るかによって、疑うべき要因が変わります。

②発生範囲
端だけなのか、全体なのかによって原因の方向性が変わります。

③ピンホールのサイズ
小さな穴が多数出ているのか、比較的大きな穴なのかも重要な手掛かりになります。
静電気によるインキはじきの可能性もあるため、改善しない場合はお持ちであればイオナイザーのON/OFFで差が出るか確認してください。

下の図は、発生範囲とピンホールのサイズから主な原因を推定するための簡易マップです。
下記の図を参照してそれぞれの疑わしい箇所をチェックし、原因を特定してください。



原因① パッド

端部ピンホールでは、まずシリコンパッドの状態を確認します。
パッド形状が鈍角すぎる場合、接触面積が広がり気泡を押し潰しにくくなります。
一般的にはワーク接触角が約30°前後の形状が安定しやすいとされています。
また、パッド硬度にも注意が必要です。
柔らかすぎるパッドでは圧力が分散し、気泡を押し潰しきれないことがあります。
逆に硬すぎる場合はワーク形状への追従性が低下します。
さらに表面状態も重要です。
・ 表面光沢 → 油分や離型成分の浮き
ざらつき → 劣化や損傷

このような場合はパッド交換を検討してください。
新品パッドを使用する際は、アルコールで軽く脱脂してから使用することを推奨します。

原因② 版

版の状態もピンホール発生に大きく影響します。
エッチング深度が深すぎる場合、エッチング内部にインキが残りやすくなり、重なったインキ層の中に気泡が生じることがあります。
弊社検証では
深度28µm → ピンホール発生<条件が整っていればピンホールは発生しません>
深度23µm → 発生なし
というケースも確認されています。

また、版底に古いインキや油分が残ると、微細な凹凸に汚れが残り気泡の原因になります。
定期的な溶剤洗浄やブラシ洗浄が重要です。
線状のデザインがブレードと平行の場合、ブレード刃先がエッチング部に落ち込み掻きムラが生じることがあります。
この場合、版を約5°回転させることで改善することがあります。


原因③ インキ

インキ条件もピンホールに大きく影響します。
パッド印刷用インキの一般的な粘度は1〜6 Pa·s(10〜60ポアズ)程度です。
(とんかつソースからマヨネーズ手前位の濃度です。)
粘度が高すぎる場合、インキ中の気泡が浮上しにくく、エッチング内部に残りやすくなります。
また、シリコンパッドとの相性によってインキが弾かれることもあります。
この場合はパッド材質変更で改善することがあります。
インキトレー内の気泡にも注意が必要です。
攪拌は低速で行い、必要に応じて
静置による脱泡
消泡剤
を検討してください。

原因④ ドクターブレード

ブレード状態も重要です。
刃先が摩耗するとインキを均一に掻き取れず、気泡残りの原因になります。
この場合は新品交換が有効です。
また、角度が適切でない場合も掻きムラが生じます。
可能な場合は角度を調整し、ブレードはできるだけ立ててセッティングしてください。
小さなデザインでは、ブレードが厚すぎるとインキ供給が不安定になることがあります。
その場合は薄いブレード(0.3mm/0.5mm)を検討します。

原因⑤ 印刷速度

見落とされがちなのが印刷速度です。
速度が速すぎる場合、パッドが気泡を押し潰す接触時間が不足することがあります。

この場合
印刷速度を下げる
押し込みストローク調整
で改善するケースがあります。

まとめ

端部に発生するピンホールは偶発的な不良ではなく、次の要素のいずれか、または複数が重なって発生します。
・ インキ粘度

・ ドクターブレード条件
・ パッド形状/硬度
・ エッチング深度
・ 印刷速度
これらを順番に確認することで、原因を特定することができます。

技術相談

「原因がどこにあるのか分からない」
「条件を変えても改善しない」
そのような場合は、版設計やパッド選定、印刷条件の整理からお手伝いすることも可能です。
現場条件を確認しながら、再現性のある改善方法をご提案いたします。
お気軽にご相談ください。



 

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