5S活動を継続するには?写真記録と社内コンテストで改善を見える化
5S活動を始めたものの、次第に取り組みがマンネリ化してしまう。
整理整頓や清掃は続けているものの、何のために行っているのか分からなくなっている。
このような課題を抱えている職場もあるのではないでしょうか。
5S活動は、一度職場をきれいにすれば完了するものではありません。
業務内容や設備、働く人が変われば、使いやすい職場の形も変化します。
そのため、改善前後の状態を記録し、成果を共有しながら、定期的に見直していくことが重要です。
特殊阿部製版所では、日々の整理整頓や清掃に加え、年2回「5Sコンテスト」を開催しています。
コンテスト当日は1日かけて各拠点の現場を回り、社員同士で改善箇所を相互にチェックします。
各チームの発表をすべて確認したうえで、年間を通じて最も優れた改善を行ったチームを選出し、表彰しています。
今回は、5S活動の基本と、活動を一過性のものにせず継続するための当社の取り組みをご紹介します。
目次
1. 5S活動とは?
2. 5S活動が続かなくなる理由
3. 特殊阿部製版所では年2回、5Sコンテストを開催
4. 5Sコンテストで重視する3つの視点
5. 5S活動は安定したものづくりを支える土台
6. まとめ
5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字を取った言葉です。
5S活動というと、職場の清掃や片づけを思い浮かべることが多いかもしれません。
しかし、本来の目的は見た目をきれいにすることだけではありません。
必要な物を探す時間を減らす、作業や移動の妨げになる物を取り除く、誰が見ても正しい状態が分かるようにするなど、
日常業務の中にあるムリ・ムダ・ムラを見直す活動です。
製造業における5S活動は、作業効率や安全性、品質の安定を支える基礎の一つです。
5S活動が続かなくなる理由
多くの職場で行われている5S活動ですが、活動すること自体が目的になると、次第に形骸化してしまいます。
例えば、物をきれいに並べても、使う場所から遠ければ作業のムダは減りません。収納方法を細かく決めても、
元に戻すのに手間がかかれば、その状態を長く維持することは難しくなります。
また、改善後の状態に慣れると、以前どのような問題があったのかを思い出しにくくなります。
改善前の記録が残っていなければ、何が変わったのかを振り返ることもできません。
5S活動を継続するためには、次の点を明確にする必要があります。
- 改善前にどのような問題があったのか
- 何を目的として改善したのか
- 改善によって何が変わったのか
- 改善後の状態を無理なく維持できるか
- 新たな不便や問題が生まれていないか
「きれいになった」で終わらせず、仕事がしやすくなったか、安全性が高まったかという視点で確認することが重要です。
特殊阿部製版所では年2回、5Sコンテストを開催
当社では、5S活動を継続的に行うため、年に2回、社内で5Sコンテストを開催しています。
各チームが期間中に取り組んだ改善について、改善前の課題、実施した内容、工夫した点、改善後の変化などを発表します。
すべての発表を確認した後、最も優れた改善を行ったチームを選出し、表彰しています。
コンテストという定期的な発表の機会を設けることで、日常業務の中で感じた小さな不便や危険を放置せず、具体的な改善につなげています。
会議室ではなく、実際の現場で発表
5Sコンテスト当日は、会議室で資料を見るだけではありません。
参加者が本社や営業所の現場を実際に回り、改善した場所を確認しながら担当チームの発表を聞きます。
確認するのは製造現場だけではなく、事務所、会議室、玄関、トイレ、発送室など、社員が働く場所やお客様をお迎えする場所も対象になります。
実際の場所で確認することで、写真や文章だけでは分かりにくい作業動線、物の取り出しやすさ、表示の見やすさなどを具体的に検討できます。
一見すると単なる配置変更に見えても、その背景には安全性への配慮や、作業時間を短縮するための工夫があるかもしれません。
改善を行ったチームから直接説明を聞くことで、変更した内容だけでなく、その理由まで社内で共有できます。
改善の始まりは何気ない一言から
5S活動の本質を考えるうえで、次のような場面を想像すると分かりやすいかもしれません。
ある職場では、備品を元の場所へ戻しやすくするため、収納棚に一つずつラベルを貼りました。
名称を大きく印刷し、色も分けました。改善を担当した人は、これなら誰でも迷わないだろうと考えていました。
ところが数日後、別の人が棚の前で立ち止まっていました。
「このラベルは、上の箱と下の箱のどちらを指しているのでしょうか」
言われて見直すと、ラベルは二つの箱のちょうど中間に貼られていました。
作った本人には分かっていても、初めて見る人には判断できません。
そこでラベルの位置を変更し、どの箱を示しているのか分かるように表示を統一しました。
「表示があること」と「表示を見れば分かること」は、同じではありません。
改善した本人は、すでに正解を知っています。
そのため、自分では分かりにくさに気づけないことがあります。
別の人が立ち止まったり、尋ねたりした瞬間は、失敗ではありません。
それまで見えなかった課題を教えてくれる、次の改善への入口です。
活動前後を写真で記録
5Sコンテストでは社内のさまざまな場所を確認するため、対象となる項目も多岐にわたります。
改善後の状態だけを見ても、以前どのような問題があり、何が変わったのか分からないことがあります。
そこで当社では、改善が必要な場所をあらかじめ写真で記録し、改善後も同じ場所を撮影しています。
コンテスト当日は、改善前の写真を実際に改善した場所へ掲示します。
参加者は写真と現在の状態を見比べながら、どこがどのように変わったのかを確認します。
改善前後を写真で残すことで、次のことが分かりやすくなります。
- 改善前にどのような問題があったか
- どこを変更したのか
- 改善によってどのような変化が生まれたか
- 改善の目的に合った状態になっているか
表示方法や置き場所の見直しなど、小さな変化も、写真で比較すれば具体的な成果として確認できます。
過去の活動をアーカイブ化
改善前後の写真や発表内容は、5Sコンテスト終了後も確認できるよう、社内でアーカイブ化しています。
過去の活動を残す目的は、記録を保管することだけではありません。
以前行った工夫を別のチームが参考にしたり、一度改善した場所が現在も使いやすい状態を保てているか確認したりするために活用します。
実際に使い続けることで、改善直後には分からなかった問題が見つかることもあります。
業務内容や使用する人が変われば、以前は使いやすかった配置が、現在の仕事には合わなくなる可能性もあります。
過去の記録と現在の状態を比較することで、改善の効果が継続しているかを確認し、必要に応じて再び見直すことができます。
前回の指摘への対応も発表
当社の5Sコンテストでは、今回新たに行った改善だけでなく、前回のコンテストで寄せられたコメントや指摘についても発表します。
指摘を受けてどのように検討したのか、追加の改善を行ったのか、その後の状況とあわせて共有します。
ただし、寄せられた意見をすべてそのまま採用すればよいとは限りません。
実際にその場所を使っているチームには、外から見ただけでは分からない業務上の事情があります。
そのため、意見を受けた後は、使いやすさ、安全性、業務の流れなどを改めて検討します。
検討した結果、現在の運用を継続する場合には、その理由も説明します。
このように、
- 改善を行う
- 現場で発表する
- 意見や指摘を記録する
- 使用するチームが内容を検討する
- 必要に応じて再改善する
- 次回のコンテストで結果を共有する
という流れを繰り返すことで、5S活動を次の改善へつなげています。
5Sコンテストで重視する3つの視点
当社の5Sコンテストでは、主に「独創性」「継続性」「費用対効果」の3つの視点から改善内容を確認しています。
独創性
現場の課題に合わせた工夫があるかを確認します。
高価な設備を導入することだけが改善ではありません。身近な物の使い方や配置を見直すことで、現場ならではの改善が生まれることもあります。
継続性
改善後の状態を無理なく維持できるかを確認します。
特定の人にしか分からない方法や、元に戻すのに手間がかかる仕組みでは、長く続かない可能性があります。
誰にでも分かりやすく、日常業務の中で維持できることが重要です。
費用対効果
改善に必要な費用や手間に対して、作業効率、安全性、使いやすさなどの効果が得られているかを確認します。
大がかりな変更だけでなく、小さな費用と工夫で業務上の課題を解決した取り組みも評価します。
5S活動は安定したものづくりの土台
5S活動だけで製品の品質が決まるわけではありません。
しかし、必要な物が正しく管理され、作業しやすい環境が保たれていることは、安全で安定したものづくりを続けるための基本の一つです。
また、職場の小さな変化や異常に気づく習慣は、設備や作業環境の状態を確認することにもつながります。
特殊阿部製版所では、日常の整理整頓や清掃に加え、年2回の5Sコンテスト、改善前後の写真記録、過去の活動のアーカイブ化、
前回の指摘に対する振り返りを通じて、継続的な職場改善に取り組んでいます。
まとめ
5S活動を継続するためには、整理整頓を呼びかけるだけでなく、改善を記録し、共有し、評価する仕組みが必要です。
当社では、改善前の状態を写真に残し、コンテスト当日に実際の現場で改善後の状態と比較しています。
さらに、過去の活動をアーカイブ化し、前回寄せられたコメントや指摘への対応も発表しています。
一度改善して終わりにするのではなく、使いながら見直し、次の改善へつなげていく。
その積み重ねが、安全で働きやすい職場と、安定したものづくりを支える土台になると考えています。
特殊阿部製版所は、これからも日々の小さな気づきを大切にし、より良い職場環境づくりに取り組んでまいります。
当社の5Sコンテストの進め方や、写真記録・アーカイブを活用した改善の見える化など、5S活動の取り組みについて詳しく知りたい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
